鈴木 るりか

さよなら、田中さん

田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るくたくましいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで生きている。この母娘を中心とした日常の事件を時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で鮮やかに描ききる。「12歳の文学賞」史上初3年連続大賞受賞。5編からなる連作短編集。圧倒的小説デビュー作。

さよなら、田中さん
さよなら、田中さん鈴木 るりか

小学館 2017-10-16
売り上げランキング : 538

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

漫画 君たちはどう生きるか 丹羽宇一郎 戦争の大問題 父さん、ぼくは父さんにさよならが言えるよ 君たちはどう生きるか キラキラ共和国 12歳の文学 第7集 小学生限定・12歳の文学賞受賞9作品一挙掲載! (小学館の学習ムック) 12歳の文学 第八集 (小学館の学習ムック) 源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04) Black Box たゆたえども沈まず

参考レビュー

みずみずしく、真っ直ぐで、ほっこりと

みずみずしい感性が心を刺激してくれる良作です。 14歳の小説住宅と斜に構えるなかれ。 それらに、ちょくちょく戸惑いながらも真っ直ぐ関わっていく花実の姿は、読む者の心を捉えて離しません。 表題作では、お受験の闇に苦しむ少年の葛藤が描かれていますが、花実親子(特に母親)のからからとした生き方は、彼のみならず、現代社会で理不尽な目にさらされる我々アダルトにも、暖かな太陽のように感じられます。 主人公・花実と豪快な母親とのやり取りに思わず顔がほころびます。 一癖も二癖もあるキャラクターが脇を固め、そのやり取りも軽妙で、ストレスなくページを繰る事ができました。 裕福ではない母子家庭に降り必要になるトラブルや厄介事。 次回作も満喫です。 貴女の心に真っ直ぐな想いが届いてきますよ。

普通の家族の普通の日常が、愛おしい。

一般的の身内、と言っても母子家庭の乙女が、友人の家屋の事を気がかりしたり、母親の再婚話に奔走したり、常識的の暮らしの中のささやかな笑いを発見したりする。 けれども私は、夕方たまたまいつも行くスーパーで贔屓のケーキが半額になっていたり、自動提供機の横に落ちていた百円玉に一喜一憂するいつもの気軽な感じの定期的が大好きだ。 アダルトになって、忘れてしまった事。 やれ、純文学だの心の改修だの、こむづかしい小説もいいかもしれない。 花実ちゃんの母親のように言えるような人間になりたいと思った。 加えて、万が一光が当たらない顔をして悩んでいる人がいたら、ほら、食え、腹いっぱい食え。 この読みやすさ、いただきものの桃を常温のまま、両親に黙って盗み食いする時の楽しさとか、その時滴り落ちる果汁とか、お金がなくても豪快にモヤシの味噌汁を美味しく食べる事だったり、そのような普段が愛おしい。 この小説を書いたのが、14歳であろうが65歳であろうが、私は大絶賛していると思う。 様々な事をこの読みやすい物語が教えてくれた。 アダルトになっても、忘れてしまいたくなかった事。 一生は、思い悩んでいるほど複雑でなく質素だ。