高田 郁

銀二貫

大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)
銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)高田 郁

幻冬舎 2010-08-05
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参考レビュー

江戸の時代をリアルに感じられる

そこまでしても誠実に放棄しずに生き続ける事のなんて厄介な事か。 江戸に生きるそんなにの人、庶民はこの主人公のようだったのではないでしょうか。 一番目は武士としての諸々なものを捨てられず、商人として必然的にうまくいかない。 しかも将来、自身ひとりの力でたちあがる。 驚いたことにいうか、とても生々しいなのです。 がんばってはいるけど、自身の中に根付くものと戦いながら毎日を過ごす様は、こちらとしても気持ちいいものではないです。 でも周囲の人たちのあたたかさ、誠実さ、きちんと怒ってくれたり、守ってくれたりするアダルトの中でわずかずつ伸びるしていくのです。 読んでいて江戸の、その町に住んでいる人を間近で見るような感覚になるというか。 最後まで読んで、心から「よかったな、報われてよかったな、みんな幸せになってよかったな」と思えました。 主人公は悪者退治もしないし、悪行もはたらかないし、かといってすごい正義の味方でもないし、主人公的なかっこいい人でもない。 地道に、ひとつひとつ、わずかずつ、場合を見ては泣いたり怒鳴ったり、時には何も言えずうずくまり、自らを卑下したり、悩んだり人に嫌がらせをかけながら助けられ、やがて恩返ししたいと考えつつも相当それが無い遂げられないまま生きている。 主人公だけでなく周囲の人のキャラがかなり生々しいというか、すごくいいのでそちらにも関心をもてると考えます。 でもそれをきっと、おおかたの人はやっているのです。 実際のご時世も江戸でも変わらない。 。 少しだけイライラしながらつきあっていく。 すごく真面目で、気弱で、でも自負高くて、元武士で、ぶきっちょで要するにモテない佇まい満載のくらーい人なのです。 江戸ものといえば宮部みゆきさんという心象があるのですが、この物語は宮部さんのようなエンターテイメントとは別のチャームポイントがありました。

深い味わいのある作品

おのれの信じる道をひたすらに突き進む。 そのような松吉を見守る周囲の人たちの温かい心づかいが胸を打つ。 松吉はどういった苦難にも歯を食いしばり耐え忍ぶ。 双方が双方を支えあって生きている。 間違いを繰り返しながら、何年も何年も努力を重ねる。 おススメです。 大火が町を襲い、色々な人たちの運命を狂わせていく。 自身では気づかないところで支えられている事もある。 読後心に温かみを感じる、深い味わいのある作品だった。 大阪天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を殺された少年の命を銀二貫で買った。 それにも深く感動した。 ラストでは、松吉の命を救った「銀二貫」の思いがけない行く末も見た。 だが、彼の生涯には色々な困難が待ち構えていた。 松吉と真帆にも残酷な運命が待っていた。 特に、料理屋の嘉平・その娘真帆との触れ合いは感触的だ。 人に情をかけたり、人を思いやる心の内、それがどんなに重要な事かを改めて感じた。 銀二貫で救われた命。 その上、ついにその努力が報われる日が来る!その描写は感動的だった。 だが、松吉は負けなかった。 人は、ひとりでは生きられない。 けども、そのふれあいも長い間は続かなかった。 その少年鶴之輔は名を松吉と変更し、商人として新たな生涯を歩み着手する。