吉川 英治

新・平家物語(一)

時は平安時代末、己の利益のみを考え、民衆の心を省みない公卿政治の退廃は、新しい勢力である武士の台頭を招いた。優れた武者であり、政治家でもある平清盛は大志を胸に秘め、武門の頂点へと登りつめていく…。清盛、源頼朝、義経、弁慶、静御前、後白河法皇。英雄、名将、豪傑、美女が入り乱れる全国民必読の大河小説、いよいよ開巻。閉塞した社会の中で、異例の出世を遂げる清盛を描く第一巻。

新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)
新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)吉川 英治

講談社 1989-03-24
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参考レビュー

日本の重要な転換期を鮮やかに描き出す

このご時世を学ぶための土台として、本書のようなエンタテインメント性の高い作品が影響する事は、嬉しいと言うしかないだろう。 道のり教育とは常識的、後者を指すが、私は歩み小説を読ませた後に歩み教育を施した方が、より深く成り立ちと言うものを把握可能なのではないかと思う。 私が本作品を読破したのは今頃であるが、高校の日本史を学ぶ前に本書を読んでいれば、どんなに道のりを自身の血肉にできたであろうか、と今さらながら悔やまれる。 本作品のようなストーリー小説に書かれている事を全部事実と思い込むのは間違いであるが、だからといって事実のみを積み重ねただけではストーリーは見えてこない。 文庫本にして16巻という長大な作品であるが、時さえあれば、苦もなく読み通せると思う。 政治権力の中心が武士に取って代わられていく、日本にとっての大きな転換点とも言える本作品が取り扱ったこのご時世は、現代の日本を認識する上でもとても大切であるし、いまだにそこから多くの教訓を読み取る事が可能な。

日本人なら読んでおきたい壮大なる一大叙事詩

つまらなければ途中で本を置くつもりで読み開始出来たのだが、数ページを開いたら最後、相当止められるものではなかった。 日本人なら何とぞ手に取っていただきたい。 この作品は人間賛歌であり、日本人へのことほぎの歌だろうと思う。 上には上で山岡壮八の「徳川家康」があるが、その一方でこの長さは道のり小説ファンでもひるませるには十分だ。 言うまでもなくこの長さだから、最終巻の読了までに四ヶ月ほどかかった。 文庫にして全16巻。 しかも忘れられない作品になった。 世には道のり小説の熱心な愛読者が多くいるが、この壮大な一大長編歩み小説には相当手が伸びないという方もいるかもしれない。 いやそれどころか、読み進むたびにそのワールドワイドに惹きつけられていった。 やはりは"国民作家"吉川英治だ。 その上仏教的な無常観が底流にある。 決して悔やみしないはずである。 ストーリー上の人物が数多に登場するが、決して定型的な枠には収まっていない。 全16巻を読み終えた時、読みはじめて現実によかったと思ったものである。 空き時のある時にわずかずつ読んでいったのだが、途中で降りる気には全くならなかった。