新井克昌

日本列島放棄

伊澤一哉は、巨大地震発生直後から連絡がとれなくなった親友の木原を捜すため、彼の勤務する原発に潜入し、被曝してしまう。遠いバングラデシュから一哉の 身を案じつづける婚約者サーラ。被曝の事実をサーラに告げられない一哉。

各地で損壊した原発から放射性物質が全土に拡散し、人々が続々と海外に脱出してい く。徐々に躯を蝕む放射能症の恐怖と闘いながら、サーラを愛するがゆえに一哉が下した決断とは―。

日本列島放棄
日本列島放棄新井 克昌

文藝春秋企画出版部 2007-12
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参考レビュー

文藝春秋が刊行した本を高評した『週刊新潮』に喝采

日本の近未来を占うようなこの『日本列島放棄』について発行した文藝春秋は、オビで「連鎖する巨大地震!原発7カ所で放射能漏れ! 北海道・沖縄を除く9500万人が国外脱出へ」と記している。やがて政府はこの国を〈定住不可〉と判断。これに対して新潮社は、この本の書評として『週刊新潮』08年1月24日号で、次のように取上げた。地震の被害はもちろん、浜岡・川内・美浜・敦賀の4原発でも放射能漏れが発生。

折からの超大型台風によって放射能の汚染地域は拡大する一方で、全体の犠牲者も159万人に達した。〃地震列島ニッポン〃の抱える危うさを見事に物語化した、迫真のシミュレーション小説だ」と、評しているのに感動した。「200X年8月、連続して巨大地震が発生する。

北海道と沖縄の住民を除く9500万人を64の国と地域へ脱出させる計画を実施する。木原の遺体を発見した伊沢は、漏れ出した放射能で被曝してしまう。それはまさに国土を放棄することだった。東北地方は、甚大な被害を受け、沿岸部にも大津波が襲う。

被曝以来、体の変調を自覚する伊沢は、自らの命と祖国の両方を失う恐怖に直面し……。5日後、今度は東南海や南海でも巨大地震が起きた。牡鹿半島で養護施設を運営する主人公・伊沢は何とか避難したが、女川原発で働く親友・木原の安否を確かめるため、単身、施設に潜入する。先ずは宮城沖で震度6強、マグ二チュード8.7。

柏崎原発事故もあり、地震と原発の怖さを知った

原油の高騰で世界の原発建設が加速する中、日本の原発の安全性とそのあり方を考えさせられました。また、身寄りのない高齢者と子供の施設を営む主人公が原発で被曝した中で、災害救助犬とともに被災者の救出にあたる生き方と、彼を取り巻く修道女や国連NGOの活躍がとてもグローバルで、被災者の辛苦と人間愛に感動しました。

「宮城沖」「東南海」「南海」と続いた巨大地震で13基の原発が放射能を放出したため、北海道と沖縄を除く、本州・四国・九州の9500万人が世界に脱出するというのだ。去年の暮れ「文藝春秋」に載った広告が強烈だったので本屋で手にしました。

最初は、小松左京の「日本沈没」と同系かと思ったが違い、地震と津波と原発の倒壊による死者が百数十万という数に信憑性を感じました。