芦原すなお

青春デンデケデケデケ

1965年の春休み、ラジオから流れるベンチャーズのギターがぼくを変えた。“やーっぱりロックでなけらいかん”―。

四国の田舎町の高校生たちがくりひろげる抱腹絶倒、元気印の、ロックと友情と恋の物語。青春バンド小説決定版。直木賞、文芸賞受賞作。

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)
青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)芦原 すなお

河出書房新社 1992-10-01
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参考レビュー

卒業しても青春です

トレモロ・グリッサンド奏法がなんかふざけた感じもしますが、インパクトのあるタイトルです。やはりこのタイトルしかないでしょう。舞台と時代を特定された作品ですが、青春は時代や場所を問わず普遍です。

山場の高三文化祭で、最初で最後のコンサートをするシーンはじーんと感動です。その一つ一つのエピソードが、まさに青春しています。作品の内容は、ちょっとコメディー色を含んだ青春ストーリー。

ロック、ベンチャーズやビートルズに関する知識を持っていない読者にも、バンドメンバーたちの熱いハートが伝わって来ます。『青春デンデケデケデケ』です。

作中で描かれている期間が、主人公の高校三年間で、ちょっと間延び感もあるのですが、その中で主人公たちは多くの人と出会い、成長して行きます。それまでの展開の中で登場してきた人々が観に来てくれて一堂に会します。

おすすめの青春小説、今読んでも絶対おもしろいはず!

1960年代の香川県観音寺が舞台。そしてもちろんストーリーの魅力。それから文章のよさ。あたかも著者の自伝のように読めるのだが、実は著者がバンドに関わったのは照明係としてだったという。何度読んでも新鮮でおもしろさが薄れないこの小説をどこから紹介したらいいだろう。

大人になった主人公・ちっくんの回顧風に描かれている。本書以上に生き生きとした魅力溢れる青春小説を読みたい・・・だが一方で読みたくない気もする、そんな思い入れのある一冊だ。文藝賞受賞作品で、のちに直木賞も受賞した。バンド仲間探し、資金調達、練習、文化祭、やがて来る旅立ち・・・その中に織り込まれたほのかな恋やらなにやらのエピソード、どれも掛け値なしにいい。本書を初めて読んでからもう15年以上にもなる。

とにかく生き生きとして、ユーモアと躍動感に満ち、讃岐弁になんともいえない味わいがあって、過去と現在(当時を回顧する主人公の「今」)を自在に行き来する達者な文章が見事(もちろんメインは過去パート)。読者は物語にどっぷり浸り、著者によって喜怒哀楽のベクトルに自然に導かれ、笑わされたり泣かされたりする。まったく無駄がない。もちろん「楽」が圧倒的に多いのだけど、「哀」の印象深さも挙げておきたい。

当時は「キャラが立ってる」などという言葉は知らなかったけれど、今彼らを表現するならぴったりかもしれない。このリアリティ溢れる回顧風の物語が「創作」とは、すごい。ロックに魅せられバンド活動に明け暮れる4人の高校生の物語である。まず、バンドメンバー(と技術顧問)の高校生たち、脇を固める大人たちのキャラクターのよさ。それぞれに個性的でおかしみがあって、真剣そのもので、人が好くて、まことに気持ちがいい。