海老沢泰久

美味礼讃

彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした。その男、辻静雄の半生を描く伝記小説。

美味礼讃 (文春文庫)
美味礼讃 (文春文庫)海老沢 泰久

文藝春秋 1994-05-01
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参考レビュー

日本に本当のフランス料理を紹介した男の生涯

海老沢氏の語り口はいつもと同様に平明で、時には”軽すぎるかな?”という位で、大変読みやすい。丸谷才一は辻静雄を”明治初期に行われた学問・文化の紹介を使命感をもって昭和に行なった男”と評した。

辻氏が使命として行なった自宅での食事会も開高健、阿川弘之氏などの随筆にあらわれているのを散見するが、本当にわかるということがどれだけ凄絶な事かは、結局辻氏がフランス料理の食べ過ぎによる内臓の故障、というしかない疾患で亡くなられた事実が教えてくれる。西洋料理しかなかった日本に本物のフランス料理を紹介した彼の生涯を追うこの本は、同時に知識人とは何か、文化とは何か、教育とはなにか、本物とはなにかを考えさせる。

本書を読んで辻氏に興味を覚えたら、是非氏自身の著作も読んで欲しい。

辻静雄にはまったのは,この本のせいです。

この本を読んだ後は,ここで「辻静雄」を検索し,新潮文庫を中心に読み進めれば,あなたも辻ワールドのとりこになること,請け合いです。

レシピを記述することを通じて,本来の素材や調理技術そのものに「美味」を語らせる著者の手法も,本書のおおきな魅力。徹底した文献の渉猟,料理人や研究者の胸に飛び込んで本物に触れてゆくさま,そして,本物を極めようとした人だけが味わう孤独・・・。

ある冬の日,大沢温泉で読んだこの文庫本がきっかけで,私は「辻静雄」にはまることになった。

辻がフランス料理を「学んで」いく姿は,ジャンルを超えて胸を打つ。