半村良

石の血脈

アトランティス、暗殺集団、赤い酒場、巨石信仰、狼男、吸血鬼、不死の生命…。この本を手に取ったあなたは、これらの言葉からどんな物語を想像するだろう か。

失踪した妻を捜し夜の街を歩く建築家・隅田、展示場から消えたアトランティスの壷を追うカメラマン・伊丹。彼らの周囲には、次第に不可解な出来事が起 こり始める。一見脈絡のない事象を縦糸に、男女の愛を横糸に紡ぐ、半村良の伝奇ロマン。

石の血脈 (角川文庫)
石の血脈 (角川文庫)半村 良

KADOKAWA / 角川書店 2001-03-09
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参考レビュー

ダビンチ・コードよりも面白いホラ話

ダビンチ・コード以来、歴史上のホラ話を絡めた歴史ミステリが人気ですが、本書の前半もまさにそのノリで、かなり面白く読めます。また、未解決の伏線も多く、作者は続編を考えていたのか、あるいは単に書きながら考えていて漏れたのか、突っ込みどころもかなりあるので、まじめな人には向いていないかもしれません。

ただ謎が解けた後の後半は、前半に充満していたホラ話のワクワク感が消えて、どろどろとした愛憎劇で平凡なドラマに堕ちたように思えます。冒頭のコソ泥が目撃する謎の超人、死んだ建築家を巡るトンデモ推理をする編集者など、一気に読ませます。

ただミイラ取りがミイラになる展開も含めて、ホラ話が好きな人なら、今読んでも十分に楽しめるエンターテイメントだと思います。

傑作

読み始めたら止まりません。人間の弱い部分、卑しい部分をさらけ出して、それでいて生命力を礼賛している稀有な作品。

人間ってすばらしい!と言葉で表現する物語とは違う、骨太な主張がすばらしい。人間であることは何か?、というメッセージを感じます。

あぁ、こいつまで助からないのか・・・、と後半は切なくなること請け合い。半村良さんのすごいところは、人間を凌駕した存在を登場させ、それに憧れを抱かせない手腕だと思う。