春江一也

プラハの春(上)

1967年3月、プラハ。チェコスロバキアは共産主義の抑圧から脱し、経済改革と自由化への気運を高めつつあった。そのさなか、堀江亮介はビーナスのよう なカテリーナ・グレーベと出会った。

だが、亮介は日本国大使館員、カテリーナは東ドイツ人の反体制活動家。東西対立の最前線の地では、禁断の愛だった―現 役外交官が自らの体験をもとに描いた、国際ラブ・ロマン。

プラハの春〈上〉 (集英社文庫)
プラハの春〈上〉 (集英社文庫)春江 一也

集英社 2000-03-01
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参考レビュー

政治、社会、そして人々の生活と、平和、幸せを考えさえる良書

本を読んで驚いたのは、旧共産主義諸国の政治のひどさ。ちなみに上巻のはじめのプロローグはたった12ページといえどつまらないので、ここでくれぐれも短気をおこして挫折しないように。文句なしの最高偏差値75の評価です。

まるでナチスの生まれ変わりであるかのような、ファシズムの双生児といっていいコミュニズム。その実態が赤裸々に書かれて、ここまで「東」側の国がひどかったことにショックを受けた。物語のおもしろさあり、歴史としてのおもしろさあり、そして今後のさまざまな政治、社会を考えさせられる書としてもおもしろく、ぜひみなさんに「すぐ」読んでほしい本です。

最高の書です!もう先が読みたくて仕方がなく、本を持っていないとそわそわしてしまうぐらい、実にすばらしい作品。権力内部にあっても密告や監視を恐れて誰も信用できない社会。ここまでひどいとは思わなかった。

非常に政治的な話だが、そこにうまいこと恋愛を織り込むことにより、実に奥が深く、そして読みやすく、劇的な政治&恋愛ドラマとなっている。1968年、チェコスロバキアで起きた自由を求める民衆運動「プラハの春」が、ソ連軍を中心とした共産主義国家に押しつぶされるまでの状況を、日本大使館勤務だった外交官の著者の体験をもとに書いた作品。権力の集中による権力者のどうしようもない腐敗と、民衆の自由を制限する圧政。

入魂の一冊

歴史から学ぶことは多いと言われるが、ギリシャ悲劇等を始めとする古代史もさることながら、後世にならないとその正確な評価がされにくい近代史を正しく理解する事こそ、現代に生きる私達にとって大切なことなのではないか。歴史の必然と言うべきかこの愛の行方もまた、冷戦時代の波に翻弄されてしまうのであるが。アメリカとソ連という当時の2大大国を頂点とした冷戦時代を知らない世代の人でも、とても読み応えのある一冊であると思う。

現在進行形でこの作品のヒロイン・カテリーナと同じく、堀江の様な真直ぐな年下の青年に恋してしまった私にとっては、感情移入しまくりの一冊となった。この言葉は当に今のニッポンを言い表していると思う。

彼は日本国の外交官である。その堀江も全くその通りだと思ったからこそ黙って認めるしかなかったのである。

堀江が「プラハの春」運動の学生リーダー、ヤンに言われて何も言い返せなかった言葉、『日本なんて所詮アメリカの腰巾着じゃないか』。そして改革運動をしていたチェコスロバキアの人々が言っていたように、必ずしも資本主義が勝利したわけではないということも。