馳星周

不夜城

アジア屈指の歓楽街・新宿歌舞伎町の中国黒社会を器用に生き抜く劉健一。だが、かつての相棒・呉富春が町に戻り、事態は変わった。生き残るために嘘と裏切りを重ねる人間たちの危険な物語。

不夜城 (角川文庫)
不夜城 (角川文庫)馳 星周

角川書店 1998-04-01
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参考レビュー

クライムノベルの傑作

「最近面白くてパワーのある小説がない」と思っていらっしゃる方にはぜひ一読をお勧めしたい。著者の著名さは存じていたのだが、初めて読んだのが数年前。それが本書だった。

新宿歌舞伎町を舞台にしたチャイナマフィアの裏世界の設計が非常の上手く作られていて、主人公が各ボスらに感じる恐怖心と彼らの支配力・恐ろしさが非常にリアルにこちら側にも伝わってくる。著者にはまだまだ沢山の作品がある。

ネタバレになってしまうので詳細は割愛するが、哀切としか言いようのない主人公と女性の絆。更に著者が巧いところはそこに「計算互い設計の巧さ」を感じさせず、ダイナミックでパワフルに展開してゆくストーリーにこちらをぐんぐん引き込んでゆくところなどが秀逸だ。まず、結論から言うと抜群に面白い。

僕は映画化の先行を情報で知り「またマスマーケット狙いの一発ものか」という偏見が先にたったが、とんでもない勘違いだった事を公開している。僕はラスト近い衝撃のシーンで正直、涙を強いられた。

これはグレイト

映画は見たが、実は原作は読んでいなかった。馳が、いかに21世紀の小説界に影響を与えたか、この1作を読むだけでわかる。

結論から言うと、これはグレイトな小説だということだ。私が言ったことを同じように感じるだろう。

劉健一のひりひりする内面世界が、研ぎ澄まされた文体で描かれている。ラストについては知っていたので、驚きはなかったが、たのむからまだ小説世界にいさせてくれという気分にさせられた。

未読の人はとにかく読んでほしい。おすすめする。