池澤夏樹

南の島のティオ

受け取る人が必ず訪ねてくるという不思議な絵ハガキを作る「絵ハガキ屋さん」、花火で「空いっぱいの大きな絵」を描いた黒い鞄の男などの個性的な人々と ティオとの出会いを通して、つつましさのなかに精神的な豊かさに溢れた島の暮らしを爽やかに、かつ鮮やかに描き出す連作短篇集。第41回小学館文学賞受 賞。

南の島のティオ (文春文庫)
南の島のティオ (文春文庫)池澤 夏樹

文藝春秋 1996-08-06
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参考レビュー

心が疲れたオトナに効く

主人公の少年は、精霊が引き起こす不思議な事件に巻き込まれたり、友達のために胸がどきどきするような冒険をしたり。ここがやはりこの著書の主人公らしい。年に一度は読み返している。

舞台は南の小さな島。読み始めてすぐ巧みなストーリーに引き込まれ、南国の花と果実の匂いの混じった濃厚な空気や高い山に吹く澄んだ透明な風、日向の乾いた太陽の匂いを深呼吸しながら読み進んでいくと、読み終わる頃には干したての布団にくるまっているように心がほかほかしている。

自然だけでなく、人の優しさも心も豊かな島で、少年(もしかしたら島一番の理性派。ということは、「子供向きの童話だろう」と思って読み始めると、それは嬉しい誤解だったことに気づく。)と、島にやって来た不思議な人々に、やたらに暢気な島の住人たちとの出会いを綴った十の物語。

日々の生活に心がちょっと疲れた時に効くビタミン剤。清冽かつ理知的、明晰で的確な表現で知られる著者が、子供たちに向けて初めて書いた本。

ファンタジーの真髄

オススメは、「帰りたくなかった二人」現実とは違った体験をしたいと思ったことはありませんか?親の実家が何もない田舎でも時々帰りたくなるのは、先祖の供養ということの他に普段身を置いてる場から逃れたいという欲求があるからだと思います。この小説を読んで、心の奥底で眠っている子供の頃の無邪気な夢を思い出して下さい。

10の短編からなっている、とても読みやすい本。それが1度も行ったことない場なら、なおさらひかれるもの。

現実と空想を混ぜ合わせたような作品混沌とした都会から遠く離れた島で起こる出来事を、ゆったりと流れる時間・自然が持つ魅力・誰もが知りあいなどという島の特徴の中で描いています。