色川武大

うらおもて人生録

優等生がひた走る本線のコースばかりが人生じゃない。ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくい部分を守り育てていくことも、大切なんだ。勝てばい い、これでは下郎の生き方だ…。

著者の別名は雀聖・阿佐田哲也。いくたびか人生の裏街道に踏み迷い、勝負の修羅場もくぐり抜けてきた。愚かしくて不格好な 人間が生きていくうえでの魂の技術とセオリーを静かに語った名著。

うらおもて人生録 (新潮文庫)うらおもて人生録 (新潮文庫)
色川 武大

篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 (河出文庫 た 24-1) 青春漂流 (講談社文庫) 怪しい来客簿 (文春文庫) 百 (新潮文庫) よいこの君主論 (ちくま文庫)

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参考レビュー

九勝六敗の教え

阿佐田哲也の名で『麻雀放浪記』を書いた筆者が、自身の体験を交えて人生のしのぎ方について語った一冊。これほどじっくり、ゆっくり、噛みしめるようにして読んだ本は久しぶりだった。

暖かく言い聞かせるように語りかける文体は、さっくりと短時間で読みきってしまうにはもったいない。短い文章が全部で五十五章。

日々の生活で起こるさまざまな出来事の中で、いかにその身を処していくべきか。

一日に一章か二章、静かな心で筆者の声に耳を傾けるようにして読んで欲しい一冊。

人生の達人の傑作

人生だって同じだよ、優等生の勝ち続ける人生ってのは本当は異常なんだよ、あり得ないことなんだ、禍福はあざなえる縄のごとし、大切なのは「負け」も認めながら、時にはいろいろなことを「しのぎ」ながら、それでも、最終的にはプラスマイナスでプラスに転ずるように世を渡っていく知恵をつかむことなんだよ、というようなメッセージが、少し照れのはいった優しい口調で語ってくれる。

人生に対する愛、そしてなにより読者である若い年代の人たちへの慈愛とも言ってよい姿勢に、しみじみとした感動を覚える。この本を読むたびに、色川のおじさんがそばにいるような気にさせてくれる。

麻雀を少しでもかじったことのある人なら誰でも知っていることだが、麻雀において「勝ち続ける」ということはあり得ない。

私の座右の書。学生にもサラリーマンにも、必携の一冊だと思う。

どうしてもいい牌がまわってもない時もあれば、あえておりる(負ける)選択をしたほうがよい場合もある。この本に溢れているのは<愛>だと思う。