神林長平

戦闘妖精・雪風(改)

南極大陸に突如出現した超空間通路によって、地球への侵攻を開始した未知の異星体「ジャム」。反撃を開始した人類は、「通路」の彼方に存在する惑星フェアリイに実戦組織FAFを派遣した。戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに、孤独な戦いを続ける特殊戦の深井零。その任務は、味方を犠牲にしてでも敵の情報を持ち帰るという非情かつ冷徹なものだった―。発表から20年、緻密な加筆訂正と新解説・新装幀でおくる改訂新版。

戦闘妖精・雪風(改)戦闘妖精・雪風(改)
神林長平

グッドラック 戦闘妖精・雪風 アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 あなたのための物語 The Indifference Engine いま集合的無意識を、

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参考レビュー

古さを全く感じない

コンピュータが意思を持ち学習し考えて行動する未来が近づいている今、例えば車の自動運転など、この本の雪風のようなことが起きたらどうしようかと。車程度の性能ではそういうことはありえませんが、ちょっと考えさせられました。この本は1985年に出版されたものの改訂版になりますが、読んでいて80年代に書かれたものとは思えませんでした。

戦闘機の空戦シーンでは専門用語が頻出するので知らない単語が多くなるかもしれません。それなのに中身は非常に濃くて何度読んでも飽きません。

一般的な知識でわかる範囲の単語だけを拾っても大丈夫です。そこで取っ付きにくさが出てしまっていますが、とりあえずそれらの単語は空白のままにしておいても問題ありません。

改訂版であるということも手伝っているのかもしれませんが、しっかりと世界観などが煮詰められているんだなと思いました。後に書くように取っ付きにくさはありますが、意外とスラスラっと読めます。

SFならではの世界観

現在形を使った戦闘シーンも特徴的で、スピーディーな印象を読む人に与えてくれます。その物語を通じて、人間性とは何か、人間の尊厳、存在意義について考えさせてくれます。

冗長になるところを背景説明や周辺状況を思い切って切り捨てることで、無駄の無いきびきびとした印象を与えてくれます。

物語は、単なる勝ち負けを競う形で戦争を描くというよりも、機械的だった主人公が人間らしさを得ていく姿、道具として作られたはずの機械が人間を必要としない個体と変化していく姿、ジャムは何を敵としているのかといった多元的な構造で描かれています。

謎の異星体ジャムとの戦いを連作長編の形式で描いています。