香納諒一

ステップ

バーのマスター斉木章の裏の顔は、盗みのプロ。一年前のヤマで相棒と恋人を失い、いまは傷心の日々を送っている。ある朝、弟分の悟が転がり込んできた。女 をめぐるトラブルで清瀧会の幹部を刺したという。

事態の収拾をはかった斉木だが、捕えられ命を落とす。だが、気がつくと昨日に戻っていた。悟を救うため、 そして、“今日”を取り戻すため、斉木は横浜の夜を疾走する―。盗みのプロが落ちた生と死のループ。

繰り返される“今日”に“明日”は訪れるのか!?俊英 が放つタイムスリップ・アクション。

ステップ (双葉文庫)ステップ (双葉文庫)
香納 諒一

贄の夜会〈上〉 (文春文庫) 贄の夜会〈下〉 (文春文庫) 冬の砦 (祥伝社文庫) 無限遠 (小学館文庫) 夜よ泣かないで (ハルキ文庫)

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参考レビュー

新鮮な趣向で面白い

時間を遡って生き返る度に、前回の失敗を繰り返さないよう、より良い手段を採ろうとする主人公。死ぬ度にタイムスリップして生き返る男。なかなか新鮮な趣向で面白かったです。

こんな不思議な話なのに、そこはさすが香納さん、ちゃんとハードボイルドになってます。最終的に主人公はこの窮地を脱して、不吉な輪廻を断ち切ることが出来るのか?自分自身と、愛する人たちを助けることが出来るのか?

香納さんの新たな世界を見られて満足しました。

主人公が前回と違う行動をすれば、当然相手の行動も変わってきてシチュエーションもその後のストーリーも前回とは違っていく。

そこに香納さんの作品らしい、主人公の忘れられない女性や忘れられない過去も絡んできて、さらにヤクザとの派手なアクションシーンで盛り上げてくれます。その中で徐々に今まで分からなかったことが分かってくる。

主人公は生き返る毎に物事の真相へ深く関わっていく。そして主人公の心にも少しずつ変化が現れていく。だけどそれは新たな謎と新たな窮地を呼んで...。

いったい何度死ぬ?

何度も死ぬ主人公に、愛着を感じる。それを、主人公は、何度も死んで、同じ一日を、繰り返し体験する事で、真実に迫る。死ぬのは、主人公のみならず、アウトローの人間達や刑事なども含む。

物語を貫く、一本の筋がある。タイムスリップする事は、非現実的ではあるが、同じ日を繰り返す事によって、浮き彫りになる事柄も多い。

感傷に浸る間もなく人が死ぬが、ハードボイルドとはいえ、時にしんみりとさせられる。作品は、こういう部分が中核になっており、大変面白い。

作品では、バイオレンスと拳銃が多用され、物々しい。これが、幾度となく、繰り広げられ、タイムスリップした後には、いったん死んだ人間も、蘇っている。同一の日を繰り返し体験して、段々と見えてくる。

主人公のこの男、各章の最後で、必ず死ぬ。ところが、主人公は、死ぬ時に何故か、一日だけタイムスリップし、過去に戻る。本作品は、傑作だ。