川端裕人

川の名前

菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまでの三人にとって思 いもよらなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのである。

ここに、少年たちの川をめぐる冒険が始まった。夏休みの少年たちの行動をとおして、川という 身近な自然のすばらしさ、そして人間とのかかわりの大切さを生き生きと描いた感動の傑作長篇。

川の名前 (ハヤカワ文庫JA)川の名前 (ハヤカワ文庫JA)
川端 裕人

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参考レビュー

夏になると思いだす1冊

スタンドバイミーのようにどこか懐かしい、少年時代の夏だけの友情物語を追体験できる。タイムレスに流れていく川やその周辺に生きる生き物の豊かな自然描写がいい。本書を、著者の代表作の一つとして推したい。

タイトル「川の名前」のコンセプトには、今まで気付きそうで気付かなかったスケールの大きな物語がひそんでいる。かーっと暑い夏、冷たい飲み物でも飲みながら本書を読めば、至福の夏休みが味わえるだろう。

誰もが持っている、川の名前とは?川と人との関係とは?著者は、本書の中で「川」を心豊かに定義する。そして登場する、サプライズな動物。

川を冒険し、成長していく小学生3人組と子供の頃の自分を重ね合わせてみた。

少年たちのペンギン・サマー

「川の名前」で、自分の居場所を表すという考え方。脩たちを取り巻く、大人社会。大事なことをストレートに伝え、見守るそのスタンスがとてもいい。

夏休み。携帯電話、私も大好きな海賊団が活躍するアニメ、アレだとわかるRPGのゲーム、メール等々、旬の小道具が上手に配されていて、そんないま時の少年達が、一夏を費やすことになった、川にまつわる考察と冒険と、友情の物語。

将来へのレール。自分を見つめ、自分の力で、摂取し排除し、友達を知ることが自分を知ることにつながっていきます。

自由研究。この夏は、どこへも行けないのですが、脩たちのペンギン・サマーにつきあって、充分な気持ちにさせてもらいました。受験。

読みながら、子供の力の底知れなさに、胸いっぱい。とても、地球規模的なスケールで、感動しました。いいなあ、おおらかだなあ、私だったら、どう言えばいいのかなあ・・・しばし、考えたりして楽しみました。

そして、重要な人物として、喇叭爺の存在。脩、ゴム丸、河童の3人を中心に、手嶋が加わり、その他のクラスメートとのいざこざや、連帯が、小気味よいテンポで、描かれていきます。

少年達を、精神的に引っ張っていく、このお爺さんがすごくいい。この物語は、ノスタルジックな翳りがなく、本当にいま時の子供達のアイテム満載で、そういう意味でもおもしろかったです。

少年達。川端氏の作品は初めてなのですが、少年達の登場する物語がとりわけ好きな私は、迷うことなく話に引き込まれていきました。そして、喇叭爺のいうように、流れ、出でて、巡り、還ってくる自然の不思議さに、心うたれました。