菊池寛

真珠夫人

真珠のように美しく気高い、男爵の娘・瑠璃子は、子爵の息子・直也と潔い交際をしていた。が、家の借金と名誉のため、成金である勝平の妻に。体を許さぬう ちに勝平も死に、未亡人となった瑠璃子。

サロンに集う男たちを弄び、孔雀のように嫣然と微笑む妖婦と化した彼女の心の内とは。話題騒然のTVドラマの原 作。

真珠夫人真珠夫人
菊池 寛

『菊池寛作品集・86作品⇒1冊』 菊池寛作品集 86作品合本版 恩讐の彼方に・貞操問答・他 レ・ミゼラブル 『海野十三全集・174作品⇒1冊』【さし絵・図解つき】

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参考レビュー

ドラマとの差異に感銘

版権などの様々な事情で近年出版されていないと聞いていた菊地寛の原作が、TVドラマ終了後に文庫として復刊されたことを感謝したい。この小説で描かれる世界はTVドラマで描かれていたような瑠璃子と直也の純愛物語とは質を異にしている。

恋人との仲を理不尽にも引き裂かれたことに対する仕返しを、全ての男を弄ぶことで遂げようとする瑠璃子の復讐劇と、その終幕までを描いた大衆小説である。

ドラマでは描き切ることが難しい心の中の葛藤の描写は圧巻の一言。

瑠璃子の妖艶さに迷い、理性と感情の間で揺れ動く男性の心理描写はこの小説を読まなければ分からない醍醐味を感じる。

ドロドロ愛憎劇

カバーの絵がまた、妖艶で魅力的なのですが、男性が買うのはちょっと恥ずかしいかも知れません。菊池寛の新聞小説です。

結婚はしても、夫に身体は許さず、その美貌で、男性を弄ぶ妖婦が描かれています。500ページを超す、長編ですが、迫力満点で、そんなに長さを感じません。通俗小説ではあるのでしょうか、真珠のように光る作品だと思いました。

お金のために、金持ちと結婚した女性の男性への復讐劇が展開されます。今では、芝居がかりすぎて、やや滑稽にも感じますが、それが、また、独特の味になっているかも知れません。

昼のドラマの題材にぴったりなのかも知れません。それにしても、これでもかこれでもかとセンセーショナルな場面が続き、読者を捕える達者な技術に職人技を感じます。