貴志祐介

新世界より 上

ここは汚れなき理想郷のはずだった。 1000年後の日本。伝説。消える子供たち。 著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説!

新世界より(上) (講談社文庫)新世界より(上) (講談社文庫)
貴志 祐介

新世界より(中) (講談社文庫) 新世界より(下) (講談社文庫) クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫) 青の炎 (角川文庫) 天使の囀り (角川ホラー文庫)

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参考レビュー

世界観の勝利

ページを読み進めるのが惜しくなるほどの小説は久しぶりで、一気読みしてしまった。物語を楽しみたい方は是非。何故か、子供の頃に夢中で読んだ『指輪物語』と同様の懐かしさを感じた。

様々なガジェットをこれでもかと盛り込んで、ごった煮の「新世界」が描かれているのは圧巻。旧世界の歴史を「図書館」が紐解いていくくだりは、主人公たちならずとも、私自身、固唾を飲んで見守っていた。

超能力者や知性を持った異形の生物が跋扈する荒唐無稽で突拍子もない世界を、少年・少女が駆け巡る。

冒険小説でもあり、ジュブナイル小説でもある。一言で言うと世界観がすばらしい。ただ、それでもなお、この作品においては些細なこと、と感じるのは、この世界観があまりにも魅力的だからである。

緻密な設定でSFとファンタジーの融合を成し遂げている。もちろん、大長編になればなるほど、粗が出てくるのは確かで業魔や悪鬼などは伏線や設定を活かし切れていないと感じたし、大人たちの活躍をもう少し見てみたい気がしたのも事実。

難しいことを考えなくても、小説世界に浸ることのできる稀有な作品。

ダークな新世界体験

前半はSF冒険物のような流れでしたが、後半になるとダークな世界が次々に展開し、戦闘や流血とともに、この新世界の秘密が明らかになりはじめ・・・。。

SFなんだなと読み進めましたが、最初のうちは想像力が話の展開についていけず、生き物・情景が何がなんだか理解できませんでした。後半は一気に読まされました。

呪力のない人間の行く末に、持つ側の人間の残酷さを見せつけられました。一見爽やかそうな表紙と題名、でもこの著者だからと、ホラーな展開を覚悟して読み始めました。

業魔・悪鬼・バケネズミ・ネコダマシ・ミノシロモドキなどの生物、八丁標という結界で区切られた世界、呪力を持つ人間。