京極夏彦

文庫版 魍魎の匣

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件と バラバラ殺人を結ぶ。

探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)
京極 夏彦

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参考レビュー

京極夏彦の最高傑作という名にはじない作品

京極夏彦2作めにして最高傑作として名高い本作。

究極は体のサイボーグ化、脳移植や意識の電脳化などでしょうが、これが本当にヒトといえるのか、元の本人と同一のものなのか、考えさせられます.特に臓器移植に関しては我々はもう一度その是非について考える必要があるのではないでしょうか?

猟奇的ミステリ小説の傑作、ぜひご一読されることをお勧めします. 。

現代の医学水準で考えれば四肢のない状態で生きていくことも人工臓器、臓器移植などある程度可能な技術です。

作中にはさまれる幻想的な「匣の中の娘」女子高生の自殺未遂事件、連続バラバラ殺人事件、戦時中の不気味な研究を続ける医学研究所、匣をあがめる新興宗教など禍々しいが、一見無関係に見える事件が一気に収束してゆくラストが圧巻です.

戦後のこの時期に免疫学や遺伝子操作などの言葉自体もありませんし、そういう意味で時代背景と京極堂の説明はやや齟齬がありますが、科学と伝奇ものが絶妙に組み合わされた傑作であることはかわりありません。

登場人物の圧倒的な存在感

1999年リリース。あるにもかかわらずわざと馬鹿のように見せている感じがある。なんと1,048ページの作品である。この作品を読了して僕の京極作品に対する予想は大分外れていたことを感じた。

能弁かつ論理的な陰陽師の京極堂もさることながら、サイコメトラー探偵榎木津。京極堂第2作。頭に浮かんだ作品は『笑わない数学者』だ。今にも『不定だ』とか言い出しそうな美馬坂。なんと言っても五幕まであるのが凄いな。

もう一つの特徴は登場人物の圧倒的な存在感だ。そこがこの作家の一大特色だ。長いものには巻かれ慣れている僕もさすがに最後は緊張感を維持するのに苦労した気もするが面白かった。京極は圧倒的な古典の知識がある。

こういう複雑な構成の作品は読後感もスゴイ。

直感で生き抜く木場修。作品の構成力からすると『姑獲鳥の夏』より上だと思う。なおかつその壮絶なラストにただ開いた口がふさがらなかった。何となく森博嗣と似たところも感じるのが自分でも意外だった。・・・・誰をとってもスゴイ存在感だ。