舞城王太郎

世界は密室でできている。

十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこか ら始まる。

地元の高校に進学し大学受験―そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。

世界は密室でできている。 (講談社文庫)世界は密室でできている。 (講談社文庫)
舞城 王太郎

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参考レビュー

人生への希望を謳った物語~世界は各自の個性でできている

題名通り、主人公と親友ルンババの回りで密室事件が連続して起きるのだが、密室の解決を主題にしたものではない。中学生の主人公を中心とした、一風変わった知人達の様々な"閉じられた世界"と生きる希望を描いたもの。

つまり、作者は初めから密室事件に挑んだ訳ではなく、密室事件に関った人物の"閉ざされた心の空間"を描きたかったのだろう。密室は一種のメタファーであって、作中で主人公が次々と係りになる奇矯な登場人物達の言動の一部と言っても良い。

テンポ良くたたみ掛けるような迫力ある文体が特徴の舞城氏にしては軽いタッチのライト・ノベル。その解法は既存のトリックを羅列しただけである。そうした異なった個性の集まりで世界はできている、と言うのが作者の主張であろう。

普通は「locked room」とか「sealed room(古い)」だろう。見かけより、結構重い内容だ。また、主人公とルンババの友情物語としても読めるし、四コマ漫画に託した人生への希望を謳った物語としても読める。

事件に係る登場人物に関しては詳しく書けないのだが、警察とも特殊な関係を持っているルンババの異常な探偵能力と言い、語り手でもある主人公の極端な優柔不断さや許容力と言い、各自が独自の世界を持っている(デフォルメされてはいるが)。

作者は題名中の「密室」を「closed room」と表現しているが、こんな訳は聞いた事がない。だが、別に密室を茶化している訳ではない。

ドンドン読み進められるノリの良い文体や遊び心満載の内容は表面的に楽しいが、実は深い所を漂っているんだなぁ、という感想。

読むたびに号泣する。非常に特別な小説です。

一生大事にしていきたい特別な本です。これを読んで舞城の大ファンになりました。小説には読者を号泣させる力があるのだということを、この本という実例をもって世の中に知らしめましょう。

ラストのユキオのルンババの為の魂の叫びのシーンでは、いつも読むたびに号泣してしまいます。世界で一番好きな小説。泣いた後は超スッキリ。

爽快感でいっぱいになります。この本はもう何回も読んでいるのに、それでもなお再読するたびにラストのシーンでうえぇぇっひっく…ふぅぅ、と号泣してしまうのです。

みなさん、是非周りの方々にこの本を勧めてみてください。