三田誠広

いちご同盟

中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一 もよい話し相手になって彼女を慰める。

ある日、直美が突然良一に言った。「あたしと、心中しない?」ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と 死をリリカルに描いた長篇。

いちご同盟 (集英社文庫)いちご同盟 (集英社文庫)
三田 誠広

永遠の放課後 (集英社文庫) 小説 四月は君の嘘 6人のエチュード (KCデラックス *児童図書第一出版) 公式ガイドブック 四月は君の嘘 Prelude (KCデラックス 月刊少年マガジン) 山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7) 春のソナタ―純愛 高校編 (集英社文庫)

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参考レビュー

15才の人生、生活、命

苦しいほどに純で、人生を見つめる15才の若者たち。それにしても、もどかしい。この作品では、年寄りの死ではなく、もっともっとある意味近いものの死から、若者がいろんなことを学ぶ。

すっかりわすれているんだな。尾崎豊が15才の狂おしい春を歌い、京都の蜷川知事は30年以上も前に15の春を泣かさないと言って高校受験制度を変革しようとした。

人は、自分の人生と命を思うに、一番身近な自分自身のことは実は棚に上げて、次に身近な、家族、親戚、友人の死から学ぶんだ。って、自分を振り返ればわかるはずなのに。だから、家族の中で(特に年寄りのいる)育つべきなんだなぁ。

改めて、自分の15を振り返り、しばし懐かしんだ読後だった。顧みれば、私も、最初に人の命というものを感じたのは、14の冬。

というか、年を経て、それぞれの時代に、それぞれの社会で、やはりいろんな人生の壁にはぶつかっているから、15のあの、人生の最初の壁のことを忘れてしまっている、のかもしれない。祖父の死に直面してだった。

あぁ、なんともせつなくもどかしい。そう、15才という義務教育を終える時期、彼らは私たちの想像以上にこの人生を真正面から見つめているのだ。何ともせつない。

自己陶酔を免れている傑作

甘い題名とはややずれた、悲劇を内包した青春小説である。

ありがちなストーリーではあるが、悲劇部分だけに耽溺することなく日々の生活と青春の様々な悩みが、その悲劇と等価に置かれている点において自己陶酔を免れている傑作である。

愛情と友情、生と死、病と将来、主人公たちは抗うことの出来ない運命にひたすら翻弄される。

未来に向いて打ち震える15歳の心が野球のピッチング、そしてピアノでリリカルに昇華される場面場面は儚く、そして美しい。