宮部みゆき

火車

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?

謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生 に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫)
宮部 みゆき

理由 (朝日文庫) レベル7(セブン) (新潮文庫) 龍は眠る (新潮文庫) 模倣犯1 (新潮文庫) 模倣犯2 (新潮文庫)

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参考レビュー

ラストが忘れられません

登場人物たちが人間らしくそれぞれに魅力的なので、逆にせつなくなります。思い入れがあると読後感が悲しいから。これだけの有名作でありながら読みのがしていました。

ようやく読んで思ったのが、丁寧で女性らしい文章なのに鋭いということ。これから何度も読み返す予感がする名作です。

発売された年を考えるとテーマ(クレジットカードなど)が古くて当然なのですが、色あせていません。

丹念な描写の裏に刃を秘めています。良質なミステリーを読むたび、人間らしくなければいいのにと思う自分がいます。

世の中の大きな力に翻弄される女性の悲しく悲惨な物語だ!

宮部みゆきさんは、色々な賞を総嘗めにしていて、推理小説と言うより、純文学に近いので僕には合っているのかも知れない。悲しくて、辛くて、やりきれない。

清々しい読後感とか、感動したとかいうのではなくて、自分の力ではどうにもならない世の中の大きな力に対する無力感に打ちのめされてしまったのだ。

どうにかして新城喬子を救ってあげたいと思っても、誰にも救うことは出来ないのだ。小説を読んだ後で、あんなに空しい気持ちになったのは初めてだった。知人から薦められてこの小説を読んだ。

僕が買いに行った書店ではこの本が店長のお薦めになっていた。

生きたい、自分も幸せになりたいという気持ちは分かるけど、自分の存在を消して、他人としてしか生きられない境遇。彼女のその他の作品もほとんど買い揃えた。まだ、全部は読んでいないが。

面白かったので先を早く知りたくて、2日で読んでしまったのだが、最後の50ページを読んでいる時に、だんだん空しくなってしまった。

人生に対する貪欲なまでの執着!その生命力は、見習うべきかも知れないけれど、そうまでして生きなければならない虚しさ。自分のせいではないのに、どうして、新城喬子がそんな目に遭わなければならないのか、どうしても納得できなかった。