なかにし礼

てるてる坊主の照子さん〈上〉

舞台は戦後復興期の大阪・池田市。復員してパン工場を始めた岩田春男と照子の夫婦には、春子、夏子、秋子、冬子の四人の子供がいる。妻の照子は人一倍負け ず嫌いな性格だが、彼女のアイディアで始めたテレビ喫茶が大当たり。

四姉妹もすくすく育ち、長女の春子はフィギュア・スケートで見る間に才能を発揮する。 夢を抱いて奮闘する一家の姿を描く、涙と笑いと感動の「国民的ホームコメディー」。

てるてる坊主の照子さん〈上〉 (新潮文庫)てるてる坊主の照子さん〈上〉 (新潮文庫)
なかにし 礼


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参考レビュー

底抜けに明るく、かつ涙を誘う親子の物語

底抜けに明るく、ほっとする楽しい作品でしたが、涙を流さざるを得ない場面も出てきて、感動しました。目標を設定し、自己実現のために努力する大切さを笑いの中で描き出します。

親として子供に愛情を込めて育てる大切さと、過度の注ぎ方がいけないことを読者に感じさせます。

なかにし礼は、静かで暗い人らしいのですが、物語は底抜けに明るく、とてつもなく面白いのです。

グルノーブル・オリンピックにでた石田治子といしだあゆみの春子・夏子の成長物語と情熱的な母・照子とのんびりやの春男の家族の物語です。

とはいえ、実際には、秋子はフィギュアの関西選手権で優勝し、男子フィギュア選手と結婚しますし、冬子、つまり、なかにし礼の奥さんとなる末っ子は宝塚音楽学校に進み、1年余り歌手となる石田ゆりです。

(NHKのドラマでは秋子は日清食品と協力する発明家に、冬子はパン屋になることになっていましたが)情熱的で積極的な母と、のんびり型で人柄のいい父親に育てられ、4姉妹は、それぞれ光る金となるのです。

NHKの朝ドラでは秋子と冬子も自己実現するハッピー物語となっていますが、原作では、照子は春子と夏子にばかり力を入れ、秋子と冬子には愛情を注ぎませんでした。

戦後の池田市が活き活きと描かれる

主人公の照子さんは、女優いしだあゆみさんの母親がモデルなのだそうですが、なんとも元気で勢いのある方だったようです。

パン屋から、テレビ喫茶を流行らせ、梅田に進出していくあたりも凄いですが、そこから娘二人をフィギュアスケートの選手に育てるところも、今でいう教育ママ、もしくはステージ・ママのように気合が入っています。

戦後の混乱期をものともせず、娘達を叱咤激励しながら育てていく姿は、感動的でさえあります。

全体として、1冊目は、NHKテレビドラマでもほぼ忠実に再現されていたような気がしました。