岡嶋二人

99%の誘拐

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには8年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして12年後、かつての事 件に端を発する新たな誘拐が行われる。

その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第10回吉川英治文学新人賞受賞作!

99%の誘拐 (講談社文庫)99%の誘拐 (講談社文庫)
岡嶋 二人 西澤 保彦

そして扉が閉ざされた (講談社文庫) クラインの壷 (新潮文庫) 解決まではあと6人 (講談社文庫) ダブル・プロット (講談社文庫) 焦茶色のパステル 新装版 (講談社文庫)

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参考レビュー

犯罪小説なのか??

誘拐事件という卑劣な犯罪を描いているが、なぜか凶悪事件のイメージが沸いて来ない。推理の交錯や、謎解き、トリックを暴いていくようなスリリングな展開はなく何十年もの間、心の中に封印されていた「想い」が徐々に解放されていく感がある。

物語の結末は、逮捕されるか逃げ切るか、という終わり方にはなっていない。最先端の情報機器を駆使しての誘拐というこであるが、著者が描きたかったのはやはり心の内面だったような気がする。

心の解放した安堵感さえ感じられる。そのためか、誘拐事件に関しては傷を負ったり死亡する人がいないのが救いである。

今までには読んだことのない、犯罪小説である。

あざやかな誘拐!哀愁を感じる作品!

誘拐というお題で、こんなに爽やかな気分になる本や映画があっただろうか。そして新たな誘拐劇の幕も上がることに…30年近く前の作品。

誘拐にはコンピュータを使うという展開。主人公はその人質だった。だから今売れている!頭脳的なのに読み終わると心に響いていました。

成功者の達成感と虚しさを共有して下さい。19年前に起こった誘拐。

時は流れ、ある事件をきっかけに、過去の誘拐の輪郭が浮かび上がる。出てくるコンピュータは古いが、古いからこそ‘今’わかりやすい。