逢坂剛

さまよえる脳髄

精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴され たプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。

そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに 黒い影が迫り始める―。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。

さまよえる脳髄 (集英社文庫)さまよえる脳髄 (集英社文庫)
逢坂 剛

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参考レビュー

傑作サイコ・サスペンスもの

軽い意外性もあるが、基本的にはサイコ・サスペンスに分類される作品である。それなりに雰囲気は出ていたが、出演者に少々違和感があった。

追い詰められ型サスペンスとでもいったら良いのか、とにかくサスペンスの傑作としてオススメである。とにかく、一気読み必至の破壊力抜群のサスペンス作品といっておこう。

本作はかつて映画化もされた。ストーリーは他のレビュアーが書いているとおりであり、それ以上の詳細はマナーとして伏せておく。

神田正輝はちょっと・・・ただし、著者のサスペンスは一級品であり、本格読みが著者名だけで本書を敬遠するのは、大変もったいない。しかし、この圧倒的な迫力、先を読まずにはいられないリーダビリティ、そして恐怖感は最高だ。

優れたサイコサスペンス

サイコサスペンスという分類になるのだろうか。「脳髄」「大脳」「脳梁」など小難しい単語が!出てくることが、読者を遠ざけているのかもしれないが、これらの単語の意味がわからなくても、本を読み進める上で支障がないので、是非トライしていただきたい。

作品の最後には、作者らしく「落ち」がついている。この3人と関わりを持つうちに、藍子自身の命もねらわれることになり・・・。

帝国医科大学付属病院・精神神経科医師・南川藍子。犯人逮捕の際のけがが元で、脳梁が損傷し、右脳と左脳の交通がたたれ刑事の海藤。そして制服姿の女性の胸に裁ちばさみを突き立てる連続殺人犯北浦。

作者の作品の中では、失礼ながら地味な印象がある(映画化されたのだが・・・、しかも売れる前の高島礼子の初主演作で)本作品だが、サスペンス作品として十分読む価値のある作品だと思う。

試合中にマスコットガールを絞め殺そうとしたプロ野球選手・追分。彼女の周りに3人の脳・精神疾患をもつ男が現れる。