笹生陽子

きのう、火星に行った。

6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。ところが突然、病気がちの弟・健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が 一変する。

家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手にでくちゃんと選ばれる…。少年たちの成長に感動必至。

きのう、火星に行った。 (講談社文庫)きのう、火星に行った。 (講談社文庫)
笹生 陽子

ぼくらのサイテーの夏 (講談社文庫) ぼくがぼくであること (岩波少年文庫 86) 泣けない魚たち (講談社文庫) くちぶえ番長 (新潮文庫) 半パン・デイズ (講談社文庫)

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参考レビュー

できる幸福に突き動かされる

160ページぐらいですので、子供でも1日で読めるかもしれません。

さらに障害走で一緒に走るのは、運動神経をどこかに忘れていった「でくちゃん」。とはいえ、とても読後感もよく、小学生の視線からうまく捉えようとするこの作品は、とても良くできているとおもいます。

表紙のオビの「みんな大切なことを忘れてしまう」という言葉がしっくりくる、この主人公の心の成長が感動を呼ぶ作品になっています。

が中学入試で使われているぐらい、以外と主題が隠れていて、ライトノベルのように読み飛ばしで読めるような内容ではないです。おすすめです 。

あらすじは、教室の隅っこで友だちと交わらずクールに過ごしている小学6年生が気づくと、障害走の選手に勝手に選出されていたり、体が弱い弟が一緒に住むことにより突然降って湧いたはちゃめちゃな弟がいままで自分が占有していたものを我が物顔で使っていたりかなり、痛い状況になります。

この困った状況で、ふと自分に気づいてしまうのがこの小説です。小学校6年生の男の子が主人公の児童小説作者の笹生さんは、「ぼくらのサイテーな夏」などさわやかな児童小説を書かれる方です。

児童小説ならではの平易な言い回し、会話中心の話の展開は、小学生でも充分読みこなせるレベルの作品ですが、児童小説の一部にみられるおもしろみの無い作品にはなっていないのがこの作品のすばらしいところです。

この作品もちょっと陰がある少年が本気になる読後感のよい作品です。

読んだ後にやる気を充電できる、そんな本です。

大学の生協で何気なく購入しました。しかし、そのときの直感は間違いなかったなと今は思っています。

ただ「きのう、火星に行った」という変わったタイトルに心が引かれたのでした。

クラスでいつも冷めていた主人公が選抜の体育会を、病気がちな弟との交流を通して、誰よりも熱い男になっていく、そんな話です。

最近、何事にも熱中できない方、ボーっとただなんとなく一日を過ごしてしまっている方にお勧めです。