さとうさくら

スイッチ

26歳、フリーター、処女。彼氏も友達も仕事もない苫子は、人の首の後ろのスイッチを探すのがクセ。スイッチを押せばその人はいなくなる…と空想する。

夫 の浮気で熟女ホステルになろうとするオバチャン、オヤジ専門のギャル、家具オタクで、家具目当てで結婚した嫁と離婚に陥ったサル男。ちょっと風変わりな 人々に振り回され、苫子の人生が変わり始める。

第1回日本ラブストーリー大賞審査員絶賛賞受賞作。

スイッチ (宝島社文庫 607)スイッチ (宝島社文庫 607)
さとう さくら

埋もれる (宝島社文庫) トマトの先生 (宝島社文庫 日本ラブストーリー大賞シリーズ) ラベンダーの誘惑 (宝島社文庫 C な 3-2) でーれーガールズ (祥伝社文庫) 44歳、部長女子。 (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)

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参考レビュー

見事な傑作!

構成と言う意味で予定調和が多すぎる、という意見も多いが、格差社会をルポの延長ではなく、小説として成長物語に昇華させている点は高い評価に値する。

どこかに「自分は特別なんだ」と云う、根拠の無い思い込みを抱く現代の若者が、しかし勤労社会に受け入れられずに自我像とのギャップに苦しむ心情を見事なまでに掬い上げた傑作。

じたばたと足掻く無様な姿は見せられずかといって地道な努力はカッコ悪く、結局拗ねるか何かに没頭するか、心のスイッチを切るしかない状況を諦念に近いユーモラスな筆致で描き出すテクニックも見事。

読んでよかった

頭も悪くないしグズじゃない。それなのに、彼氏がいなくて仕事がなくて友達がいない。こんな自分は、本当にダメなんじゃないだろうか、と本気で思う。読んでよかったです。ダサくもないし、モテなくもない。

恋愛本じゃないけど、この本が特別賞で出版され、こうして認められたということは、こんな自分もいつか、じゃなくてもしかしたら今でもどこかで、認めてくれる人がいるかもしれない、と思えた。こういう人は今、一番多いんじゃないだろうか。

夢も希望も、欲望さえもなくなってしまった。協調性はないけど、人に冷たいわけじゃない。

自分も公園生活者を見て、自分の未来を見るような気になる時がある。それなりに努力もした。そこに、ビンゴでリアルに共感できる本でした。追いかけて追いかけても、叶わない夢ばかり。

ドラマだらけの本も読みモノとしては面白いけど、私達が生きるのは、退屈で不平等な毎日。思って思っても、届かない思いばかり。地位も名誉も経験もない。