島田荘司

異邦の騎士 改訂完全版

失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。

名探偵御手洗 潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修整した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。

異邦の騎士 改訂完全版異邦の騎士 改訂完全版
島田 荘司

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参考レビュー

ここから、御手洗潔は始まった。

真相部分までが長くなっていますので真相を急ぐ人には向かない作品です。そのまともさには彼を知っている人は驚くに違いありません。その面では特殊な作品と言えます。彼はこのときはまだまともなのです。

この作品は実はこの作品そのものが事件となっています。ただし、この犯罪自体はかなり真相に含まれる要素が要素なため悲しくなってしまうことでしょう。ちなみに、ある人物が絡んでくるのでよく読んでみましょう。

一見すると記憶喪失の男性をかくまっているように見えてしまうのですが、実はもうそこから陰謀への道は進み始めているのです。

そしてここに出てくる記憶を失った登場人物は知らず知らずのうちにある事件へとずるずると引き込まれていってしまうのです。注目なのは探偵として出てくる御手洗潔。殺人の「記録」は出てきますけどね。

どこかで見たことのある名前がそこには出てきますから。しかも、その一連の犯罪で命を散らすものまで出てくるのですから。他の作品とは違い、直接的な殺人は起きません。この事件は御手洗潔が最初に出会う事件です。

文句なしの傑作!!

彼のような友人がいたらどんなにすばらしいだろうとも切に思いました。必ず御手洗シリーズを二、三冊読んだあとで読むことをお勧めします。そうすることで感動の度合いが変わることは間違いありません。

友人を助けるために必死になった彼の姿は、読みおえた時の私の心をとても暖かくしてくれました。あまり本を読んで感動することなど無い私なのですが、この本に関しては別でした。

私が思うこの本の見所は、島田氏特有の筆力も大トリックもそうなのですがやはり何より、普段は人に無感心な御手洗潔がこの本で見せる優しさに他ならないとおもいます。そして御手洗潔のシリーズから目が離せなることも。

今からこの本を読もうとしている人へ。本当にすばらしい、心に残る作品です。