篠田節子

ロズウェルなんか知らない

温泉もない、名所があるわけでもない、嫁のきてもない。観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。青年クラブのメンバーたちは町を再生することで、自らの生き方 にも活路を見出そうとするが。

地方の現実に直面する人々の愚かしくも愛しい奮闘を描いた胸に迫る長篇。「日本の四次元地帯」として駒木野は再生するのか。

ロズウェルなんか知らない (講談社文庫)ロズウェルなんか知らない (講談社文庫)
篠田 節子

聖域 (集英社文庫) 仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫) 女たちのジハード (集英社文庫) 仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫) 転生 (講談社文庫)

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参考レビュー

引き込まれる快作

日本人全員に読んでほしい本です。中心になっているのは、東京の大学をでたものの、何だかんだの理由で、また田舎に戻ってしまい、「こんなはずじゃなかったのに」とぼやいている田舎の青年団(というにはトウのたってる独身男たち)です。

文章も読みやすくて◎

地方で金と実権を握っているのは高齢者で、かれらの出来上がってしまった固定観念を覆すのは行政のお題目では不可能で、それでもまだお題目を振りかざす小役人と、崖っぷちにいるのに動かない年寄りの現実には、ため息がでます。

青年団の個々がていねいに描かれ、なおかつセンチにならない突き放し方が気持ちいいです。頭の固い爺婆もリスペクトをもって描かれてます。

地方に住んでいる方は、舞台になっている地方の空気やそこに住んでいる人間の閉塞感が、ありありと感じられるのではないでしょうか。かなり分厚い本なのですが、読み終えるまでホントに眠れない。

読み終えたあと、もう一度めくりたくなる本です。この本の凄さは、村おこしの難しさをリアルに描いている点でしょう。

笑ってしまうが大真面目

人間は本当その気になると、現実と虚像の区別がつかなくなる。人間の心理とは、その程度に、雰囲気に呑まれやすいものなのだ。また、最終部分は感銘を呼ぶ。

青年グループの努力は無駄では無かった。楽しい作品なので、一気に読み上げた。しかし、冷静に考えると、この計画はでっち上げに満ちているのだから、しっぺ返しを食らう事は必定だ。町民やアイドル司会者まで、簡単に巻き込まれるのは面白い。

オカルト現象もその類なのかも知れない。本書では、多くの凄味のある作品を発表している著者の、コミカルな面が楽しめる。ところが、その気になってしまった青年グループに、それを悟る理性が無くなってしまった。

同時に人間の心理に、楔を打ち込む。UFOで町おこしを計画する段階は、コミカルでつい笑ってしまう。理性が無くなったのは、青年グループだけでは無かった。