高橋源一郎

日本文学盛衰史

「何をどう書けばいいのか?」近代日本文学の黎明期、使える文体や描くべきテーマを求めて苦悩する作家たち。

そして…漱石は鴎外に「たまごっち」をねだ り、啄木は伝言ダイヤルにはまり、花袋はアダルトビデオの監督になる!?近代文学史上のスーパースターが総登場する超絶長編小説。伊藤整文学賞受賞作。

日本文学盛衰史 (講談社文庫)日本文学盛衰史 (講談社文庫)
高橋 源一郎

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参考レビュー

若年者向け虎の巻

都合の良い事に(今となっては多少時代遅れの感はあるが)、少年少女が目を輝かせる現代風俗に関する情報が随所に散りばめられており、良い意味で安易に読了出来る内容。

学生時代、誰それが何という題名の小説を書いたかをいちいち暗記させられていた身としては、正に虎の巻とも思える本であり、思うに覚えさせる数多の国語教師に其々の小説が持つ素晴らしさやそれが書かれた背景を教える気がないのであれば、単に本書を生徒に手渡せば事足りるのに、と思わせる。

世界の中心で何かしらを叫んだ者の登場よりも。

実際のところ、これは実に大きな文学的収穫のような気がする。漫画喫茶にも置いていないだろうし小洒落た美容院にもないであろう。

冒頭から読み進め「たまごっち」なる単語が登場するまでに飽きなければ、「egg」読者であろうが最新の携帯電話の情報に人生の全てをかけているかのような者であろうが、殆どは間違いなく読了するであろう。

勿論年配者が読んでも面白いのだろうが、これは若年者向けに最良と私は思った。

陽の目を見ない近年稀にみる良作。ただ、悲しいかな教科書で使われるという話を聞いたこともなければ絶対的な弾数も世界の中心より少ない。

「明治文学」は生きている?

主人公の「明治文学」が泣き笑い悲しみ冒険を繰り広げる。

読み終わるのがもったいないと思うくらいに。その「かつてあった」ものを過去のものとして扱うのではなくて(文学史の教科書みたいに)、主人公として「今」のものとして書く、それがいとも簡単(そうに見えるよう)にすっとできていて、本全体がとても面白く、エキサイティングで、かつ深い洞察と創造によってできている、というと、難しそうですが、とにかく読んで面白い。

何年に一冊あるかないかの本当に素晴らしい本だと思います。

「石川啄木が援助交際」「漱石と甌外がたまごっちについて話す」「田山花袋がAV監督になる」なんていうと、たんにふざけた本だとか、現代人にわかりやすく明治文学を紹介する本だというふうにいわれたりもするんでしょうが、それとは少し(というか大分)違っていて、「明治文学」が主人公の小説だといえば、少しはこの本についてわかるのではないでしょうか。