高橋治

風の盆恋歌

死んでもいい。不倫という名の本当の愛を知った今は―。

ぼんぼりに灯がともり、胡弓の音が流れるとき、風の盆の夜がふける。越中おわらの祭の夜に、死の予 感にふるえつつ忍び逢う一組の男女。

互いに心を通わせながら、離ればなれに20年の歳月を生きた男と女がたどる、あやうい恋の旅路を、金沢、パリ、八尾、 白峰を舞台に美しく描き出す、直木賞受賞作家の長編恋愛小説。

風の盆恋歌 (新潮文庫)風の盆恋歌 (新潮文庫)
高橋 治

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参考レビュー

「おわら風の盆」の魅力を恋で描く

富山県八尾町の「おわら風の盆」を訪れたことがない人もこの本で祭に参加でき、一度でも見た人は感慨を新たにする。巻末の加藤登紀子氏の賛辞は秀逸な「カスタマーレビュー」になっている。

構成も表現力も絶賛に値する。それほど祭の特異な魅力を描ききっている。

こういう素晴らしい小説を今まで知らなかったことを恥じた。

毎年の祭の日々に限って数年間にわたって展開する「酔芙蓉」の花に例えられる恋の物語は、倫理的には容易に馴染めない中年の破滅への不倫ではあるが、日常から隔離された「おわら風の盆」の祭を舞台とする限り、学生時代以来の秘められた恋を爆発させたそのひたむきな愛は共感を呼び、祭そのものであるとすら思えてくる。

風の盆に行きたくなります

風の盆は、大学のころ仲間と行ったのだが、それ以来訪れていない。そんな思いにさせる本だ。

あれから20年、40才を過ぎ、この本に出会い、久しぶりに今年は行ってみようと思う。この本に描かれている風の盆の美しさ、そしてこの物語のような哀しさ、切なさを感じたい。

あの時は踊りとか歌というよりもお祭りさわぎがしたかっただけだった。

富山に住んでいる。