竹内真

自転車少年記

幼い昇平の乗った自転車がスピードを出しすぎて飛びこんでしまったのは、草太の家の庭だった。ふたりは、その日、生涯の友と出会う。海まで必死にペダルを こいだ。強豪高校にレースで挑んだ。

そして、東京発糸魚川行きの自転車ラリーを創った。もちろん素敵な恋もした。爽快無類の成長小説。

自転車少年記―あの風の中へ (新潮文庫)自転車少年記―あの風の中へ (新潮文庫)
竹内 真

自転車冒険記---12歳の助走 男たちは北へ (ハヤカワ文庫JA) 自転車で遠くへ行きたい。 (河出文庫) セカンドウィンド 1 (小学館文庫) 銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)

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参考レビュー

好きなもので培った絆は強い

同級生たちに差をつけるために坂道で怖がらずに自転車に乗るための特訓をしたこと、海まで何時間もかけてサイクリングしたこと、高校で自分たちで自転車部を発足したこと、東京で暮らし始めるために東京まで自転車上京したこと・・・二人の青春にはいつも自転車がある。

自転車によって人間関係も開かれた。自転車屋のおじさんを持つ彼は、二人の自転車のメンテを手掛けます。自信を持って人にすすめられる本に出会えました。

昇平と草太の出会いは4歳の時。ラストの連帯感は爽快です!「悲しい」とか「かわいそう」ではなく、「感動」で泣ける小説でした。後半に唯一、彼をメインに描く章があるのですが、そこから最後まで私の涙腺は開きっぱなしでした。

補助輪なしでの自転車乗りの練習をしていた昇平が、坂道の猛スピードで草太の家の生垣に突っ込んだ日から、29歳になり300キロの自転車ラリーに出るまでの25年間を描いているのですが、二人の人生の節目には必ず自転車があるのです。

好きなものでつながっている人々の連帯感ってやはりすごいですよね。この作品の3人めの主人公。第3の男。

成長小説はたくさん読んできたけど、「自転車」というアイテムにこだわった点が何より見事でした。

読んでいてこんなにすがすがしい気持ちになれた本は久しぶりです。忘れてならないのが、二人と中学校で出会う伸男。この作品においても重要な存在です。

自力で前に進む

物語は長い年月のトンネルを、前へ前へと進む。本文中で書かれている様に、自転車にはバックギアはなく、時間を戻す事は出来ないし、文字道理、自力で進むしかない。読者にも、最大級の幸福をもたらす。

遡れば、自転車によって運ばれた、幸福の味は格別だ。淡々とした、この物語は何と爽快なんだろう。

人生そのものが自転車だ。それは、単に作品の中だけの話ではない。最後にもたらされるものは、幸福と、その予感だ。

道とは、人の輪であったり、恋愛の成就であったり、司法試験合格であったりする。それぞれが、前に進んだ結果、着実に道が開ける。

「特訓山」で培われた昇平と草太の根性は、自転車部にも引き継がれ、その後も、困難にぶつかっても、前に進む事をあきらめる事はなかった。