玉岡かおる

お家さん〈上〉

大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である 米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木―

そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業 戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。

お家さん〈上〉 (新潮文庫)お家さん〈上〉 (新潮文庫)
玉岡 かおる

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参考レビュー

大正、昭和を駆け抜けた熱き人々

激動の時代を生き抜いた大河小説、是非お読みください。またこのよねさんと直吉、珠喜や田川といった登場人物たちもこの物語を面白くさせていきます。

大正、昭和をかけ抜けた一人の女性「およねさん」と金子直吉が造った鈴木商店の栄華必衰の話である。

が、大企業になったからには、やっかみもあったりして、焼き討ちまでされてしまうのだが、それを乗り越えて再びより一層大きな企業へと発展していく。

大正、昭和と駆け抜けて命を懸けて国を造っていこうというこの男の精神力と情熱には読むものを熱くさせてしまいます。

神戸の一商店だった鈴木商店が、世界に支店を置くまで成長した総合商社になったという物語なのですが、その商店を世界まで持ち上げたのは金子直吉という『商売をして、国を豊かにしよう、文明開化をさせていこう』といった素晴らしい精神の持ち主がいたからこそ、大きな企業まで、上りつめた話なのである。

激動の企業人生

一つの企業の始まりを終わりを読め、更にその企業が戦前日本で最も大きかった総合商社である点からも本書は一読の価値があります。しかしそれでも、鈴木商店の団結力や勢いはひしひしと感じられます。

ただ、鈴木商店の盛衰を描いた物語である為、衰退の道へ進み始めると一気に崩壊していきます。

戦前の巨大企業「鈴木商店」を作り上げた社員たちの歴史が、当時代表を勤めていた鈴木よねによって語られている物語です。ここまで愛社精神をもって主人の為に真っすぐ突き進む男の姿は今の世では見られないものでしょう。

世界の富豪ランキングで女性1位となった鈴木よねと、鈴木商店の物語を是非お読みください。

三菱・三井等の財閥系商社よりも大きく成長した鈴木商店の原点はどこにあるのか。また、当社の筆頭番頭である金子直吉の男の生き様には感動します。

そこの代表の座にいた鈴木よねを当時はもっとも尊敬する言葉として「お家さん」と呼んでおり、本書のタイトルとなっています。

鈴木商店は今は歴史に埋もれてしまっていますが、流れをくむ企業は現在も有名企業とされる、神戸製鋼、帝人、IHI等々数多くあります。よねの語り口調で物語が進んでいくため、よねの周りの世界が中心となっています。